ポリプテルスと言えば、このエンドリケリーをイメージされる方が多いのではないでしょうか。正式にはポリプテルスエンドリケリーエンドリケリー(学名:Polypterus endlicheri endlicheri)なのですが、それだと長いので一般的には【ポリプテルスエンドリケリーエンドリケリー=ポリプテルスエンドリケリー】とされている場合が多いです。
僕が初めて見たのは高校生くらいで、めっちゃ恐竜みたいでかっこいい!と思ったのですが、最大サイズにびびって結局ポリプテルスデルヘッジに落ち着いたという思い出があります(デルヘッジも魅力的ですよ!)。
あと、当時はまだ値段も高かったので、なかなか手が出せなかった印象がありました。最近はカミハタブリードをはじめとして多くのブリード個体が流通しているおかげで非常に安く手に入れることができるようになりました。
ただ、大きくなるということは変わりはないので、そこら辺の知識をしっかりと身に付けたうえで飼育を始めましょう。・・・ということで今回はポリプテルスエンドリケリーの飼育法に関して説明します。
エンドリケリーってどんな種類?
ポリプテルスエンドリケリーエンドリケリーの中で言うと
①ブリード個体
➁ワイルド個体
➂ショートボディー個体
が流通していますね。もう少し幅を広げると例えばポリプテルスビチャー(コンギグス)という種類もいます。
エンドリケリーとコンギクスの違いは?
まずは学名が違います。エンドリケリーはPolypterus endlicheri endlicheriで、コンギクスはPolypterus endlicheri congicusです。
また、コンギクスの方が大型化し、エンドリケリーと比べるとよく泳ぎます。
見た目でいうと、コンギクスのほうがバンドの黒が薄いです。またエンドリは黒のバンドがお腹の半分くらいまで入りますが、コンギグスはお腹まで入らない場合が多いです。
ワイルド個体とブリードの違いは?
はっきりとコレ!というのは何とも言えないですが、ワイルド個体のほうが顔がつぶれ気味で、背中の盛り上がりが大きいという傾向があります。また、ブリード個体のほうがバンドがはっきりしていて、きれいに出ていることが多いです。
どこで販売されているの?値段は?
ある程度の規模の大きさの熱帯魚ショップであればよく見かける種類です。もし近くにそういったショップが無かったとしても、charm などのネット通販で購入することができます。
ブリード個体の稚魚や幼魚であれば、なんと1000円前後で購入可能です。ワイルド個体に関しては大きさ・太さ・バンド・体型などで異なってきますが、60㎝オーバーの個体は10万円以上の価格で販売されています。
また、ショートボディー個体など特殊な体形の個体も通常個体より高値で販売されています。
エンドリケリーの外鰓に関して
これはエンドリケリーだけでなくポリプテルスに特有のもので、幼魚や稚魚に見られるものです。成長とともに消失したり、他の魚につつかれたりして徐々に消失していきます。そして消失した外鰓は復活しません。
ただ、これが無くても問題なく飼育できるのでそこまで心配しなくても大丈夫でしょう。
寿命は?
10年以上です。
ポリプテルスエンドリケリーの飼育法
ここまででエンドリケリーがある程度どんな種類なのか分かってくれたと思うので、ここからは飼育法に関して詳しく説明していきます。
餌は?人工飼料には慣れるの?
生餌の場合は、メダカ、小赤、冷凍ワカサギ、どじょうなどがメインになると思いますが、栄養バランスや、病気の持ち込みなどを考えると人工餌に慣らせるのもいいかと思います。
人工餌に餌付かせたい場合は、まずはクリルに慣らせる⇒そのにおいを付けたキャットを与える⇒この流れで餌付ければほとんどの個体が餌付きます。
ただやはり個体差があるのと、比較的大きな個体(30㎝以上)で、ずっと生餌しか与えられていなかった場合、もしくは30㎝以上のワイルド個体は餌付けに時間がかかる場合もあります。でもなかなか餌付かないからといってクリル単食は絶対にやめましょう。栄養が偏って背中が曲がったり、突然死する場合があります。
人工飼料のみで育てても大丈夫?
エンドリケリーに限らず、人工飼料だけで飼育しても大丈夫かと心配だという声もありますが、人工飼料は栄養バランスに優れているので、結論から言うと大丈夫です。もし不安であればキャットだけでなくクリルなども織り交ぜながら与えるといいのではないでしょうか。
ただ、大きく育てたいのであればやはり生餌をメインにした方がいいです。なので大型化させたいのであれば、人工飼料はあくまで補助的に与えるようにしましょう。
餌やりの頻度は?
基本的には【1日2~3回、お腹が少し膨れるくらい与える】のがいいですね。
成長しきった個体はもう少し減らしても大丈夫です。
餌をなかなか食べてくれない場合はどうすればいい?
まずは『ほんとに食べてないの?』ていうところから確認しないといけないので、よく観察しましょう。
本当に食べていなければ
①水質が悪化してる(合っていない)
➁混泳相手との相性が悪い
➂餌に飽きてる
・・・とだいたいここらへんが原因として考えられます。①は水換え➁はいじめられているのか確認→必要であれば隔離➂はメダカ漬けの環境とかだとけっこうあります。あえて餌を切らせてみるのも手です。あとは違う餌を与えてみたり。
とまあ原因は様々なので、色々試してみてください。
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水換えの頻度は?
他の熱帯魚と同じように週1回、全水量の1/3の水換えを行いましょう。また、混泳している匹数によってはもっと頻度・量を増やしてもいいでしょう。
成魚の大きさや成長速度は?
自然界では70㎝にまで成長すると言われていますが、稚魚から水槽内で育てた場合は50㎝前後が限界なのではないでしょうか。少なくても稚魚を最初から育てて60㎝オーバーに育った個体を見たことがありません。なので、水槽内での最大サイズは50㎝くらいだと思っておけば大丈夫かと思います。
成長速度は?
個体にもよりますし、水槽サイズ、餌の量とかにもよるのでなんとも言えないですが、10㎝の稚魚から育てた場合、十分な広さの水槽でしっかりと餌を食べられていれば30~40㎝くらいには成長します。
40㎝まで到達したらあとはその個体のポテンシャルが高ければ50㎝に到達しますし、そうでなければ40㎝半ばくらいで成長が止まる個体も多いです。
エンドリケリーを大きくするには何をすべき?
以下の事を意識してみてください。
◆できる限り大きな水槽を用意する(最低でも120×60×45㎝以上はあったほうがいいです)
◆過密飼育をさける
◆小さいころから常に十分な数の生き餌が水槽内を泳いでいる状態を維持する、もしくは人工飼料を与える際に、毎回しっかりいきわたっているか確認する
⇒ショップで長い期間飼育されていた個体は過密状態かつ十分に餌を食べられていない可能性があるので、ショップでの飼育期間は長くない方がよい
◆単食は避け、金魚、人工飼料、どじょうなど、レパートリーに富んだ餌を与える
◆20㎝を超えたあたりから、栄養価の高い牛ハツを食べられる大きさに刻んで与える
◆ブリード個体であっても、ドリーKブリード個体であれば、大きくなりすい
◆(趣旨とは若干離れるが)すでに大きく育っているワイルド個体を購入する⇒これが一番確実です(笑)。
エンドリケリーを太くするためには?
大きさもそうですが、太さにもこだわるマニアも多いです。確かに太い方が迫力がありますもんね。太くしたい場合は、基本的に脂肪分の多い餌を与えるといいです。具体的にはピンクマウスや、牛ハツを与えるといいです。ただ、これらの餌だけを与えるのではなく、金魚・どじょう・人工飼料にこれらの餌をミックスして与えるといいです。
適切な水槽サイズは?90㎝水槽で飼育可能?
上記のことを考えると本当は最終的には120㎝水槽を用意してあげた方がいいです。30㎝くらいまでであれば60㎝水槽でも大丈夫ですが、その後は90㎝水槽か120㎝水槽に移動してあげましょう。
ただここで、90㎝水槽でもいいのか?120㎝水槽を用意しないといけないのか?という話がでてきます。以前に熱帯魚ショップで働いていて、そこでお客さんと話をしたり、実際にお店の個体を見ての感想ですが、90㎝水槽でも飼育可能では?という感じです。
もちろん120㎝水槽を用意できるのであればそれが1番いいです。ただ、「90㎝水槽で飼育可能か?」と聞かれたら、「エンドリの大きさが45㎝に達しなければ多分大丈夫です。」と答えます。さすがに水槽の縦幅を超えてきたら、もしくは同じ大きさになったら、120㎝水槽に移動したほうがいいですが、実際に90㎝水槽で特に問題なく10年以上飼育している人もいます。
なので、大きくしたいのであれば120㎝水槽、そこまで大きだにこだわらないのであれば90㎝水槽で大丈夫、という感じですね。
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盆栽飼育は可能?
90㎝水槽での飼育を盆栽飼育というのであれば、ほとんどの個体で可能かと思います。
ただ、どんな個体も30㎝は超えてくるので、60㎝水槽での盆栽飼育は難しいでしょう。短命に終わったり、背中が曲がってしまう可能性があります。
適切な水温・水質は?
水温は20~28℃程度を好みます。水質に関しては弱酸性~中性を好みます。そこまで水質には敏感ではないですが、PHが下がりすぎないように注意しましょう。
混泳は可能?
泳ぎが速い種類ではなく、また温和なので大型ナマズなどの気が強い種類との混泳は向きません。また、プレコにも体表を舐められてしまう危険性があるので、おすすめしません。
サイズにあまり差がないポリプテルス同士であれば上手くいく可能性が高いです。ただ、同種同士を混泳させる場合は、2,3匹だと変にテリトリー意識を持ってしまうので、5匹以上の混泳をお勧めします。
一般的にはダトニオやアロワナやガーパイクなどのタンクメイトとして混泳されている方が多いですね。
※混泳に絶対はありませんので悪しからず・・・
どんなろ過器・ろ材は何を使えばいいの?
基本的にはろ過能力が高いオーバーフローがいいかと思いますが、資金的に厳しいという場合は扱いやすくろ過能力も高い上部フィルターを使用するといいでしょう。
また、酸欠の防止とろ過バクテリアの繁殖を促すためにエアレーションも併せて行うようにしましょう。水中の二酸化炭素を空気中に追い出すので、PHの低下を抑える効果もあります。
ろ材に関しては、長持ちしやすいリングろ材を使用するのかいいかと思います。大型魚飼育の際は、PHの低下を防ぐためにパワーハウス ハードタイプのろ材を使用している方が多いです。
どんな水槽レイアウトにすればいい?ベアタンクでもOK?
まず底砂に関してですが、底砂の定期的な掃除ができるのであれば、ガーネットサンドを敷いて飼育するのがおすすめです。
定期的に掃除を行う自信がない場合はベアタンクでの飼育のほうがいいかと思いますが、エンドリの特徴でもあるバンドも含めて体色がが薄くなってしまいます。
なのでエンドリの本来の魅力を引き出すのであれば、ガーネットサンドを敷いて、定期的に底砂の掃除をすることをおすすめします。
【重要】病気になった際の対応に関して
古代魚には基本的に魚病薬は使えないので、まずは病気にならないように定期的な水替えを行うこと、日々の観察をしっかり行うことが大切です。
もし病気になった場合に関しては、まず水を半分程度取り換えます。その後水温を1日1℃ずつ上げ、28℃にします。餌に関しては今までよりも少し多めに与え、かつ毎日1/4程度の水替えを行います。そうすることで病原菌を水槽外に排出するとともに抵抗力を高め、自然治癒を目指します。なので、重症化しないうちに対処することが大切になります。
ただ、イカリムシや、ウオジラミが付いた場合はピンセットで直接取り除くしかないです。
ポリプテルスエンドリケリーの飼育法まとめ
うーん、思ったより大作になってしまいました(笑)。お付き合いいただきありがとうございました。個体によっては90㎝水槽で飼育できますし、古代魚の魅力を十分に味わえる個体かなと思うので、「恐竜っぽい魚」を飼育してみたいという方、ぜひチャレンジしてみてくださいね。また、どうしても60㎝水槽までしか用意できないという方はポリプテルスデルヘッジをおすすめします。
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