アユカケはドンコと同じように、僕の卒論テーマであったカジカ中卵型の初期生活史のサブキャラとしてよく登場していたので、そういった意味で非常に懐かしい種類でもあります。
また、僕が大学の時に住んでいた福井県では天然記念物に指定されている種類でもあり、環境省のレッドリストで絶滅危惧II類 (VU)に指定されている種類でもあります。
でも実は普通に家で飼育できるのって知ってました?知らなかった人も多いかと思いますので、今回はそんなアユカケの飼育法に関して説明します。
- アユカケってどんな種類?
- アユカケとドンコの違いは?
- どこで販売されているの?価格は?
- 寿命は?
- 大きさはどれくらいになるの?
- 必要な水槽の大きさは?
- 餌は?人工飼料には餌付くの?
- 適切な水温・水質は?
- おすすめのフィルターは?
- おすすめの混泳相手は?
- どのように水槽レイアウトにすればいい?
- ドンコがかかりやすい病気は?
- アユカケの飼育法まとめ
アユカケってどんな種類?
アユカケ(学名:Cottus kazika)とは、本州、茨城県と秋田県以南に分布する、カジカの仲間です。鰓蓋にある鋭い棘で【アユを掛ける】ことからアユカケという名前が付けられたと言われていますが、本当にそのようにアユを掛けるという事象は確認されていません(笑)。また、【カマキリ】や【あられがこ】と呼ばれることもあります。ちなみに僕が今住んでいる神奈川県でも少数ではありますが生息が確認されており、たきたろう、ふぐたなどと呼ばれます。
アユカケの生活史は?
アユカケの産卵は秋から冬にかけて河口近くで行われ、生まれた稚魚は川を遡上し、成熟すると海に降河するという生態をもつ降河回遊魚です。後でも説明しますが、一生を淡水域で過ごすドンコとはその点が一番異なっていると言えます。
アユカケとドンコの違いは?
非常に似ている2種ですが、実はその見た目の特徴や、分類・生態などが大きく異なっています。ざっくり以下で説明します。
見た目の違い
・ヒレ
尾びれに近い方の背びれに注目して見てみてください。 まずはドンコ↓
こちらがアユカケ↓(成長した姿)
アユカケの方が大きいのが分かります。
・体色、模様
環境や個体にもよりますが、ドンコのほうは全体的に黒っぽく、アユカケのほうは黄土色っぽい体色に黒のバンドが入ります。ドンコに入る場合もありますが、アユカケほどはっきりとは入らないです。入るとしてもぼやーっと入ります。
・口の色
これはアユカケの雄限定ですが、成熟したオスは繁殖期になると口が赤くなります。
分類・生態の違い
・分類の違い
ドンコはハゼの仲間で、アユカケはカジカの仲間になります。
・生態の違い
ドンコは一生を淡水域で過ごしますが、アユカケの産卵は沿岸近くで行われ、生まれた稚魚は川を遡上し、成熟すると海に降河するという生態をもつ降河回遊魚です。
どこで販売されているの?価格は?
一般的なショップではあまり見ない種類です。なので購入する場合はcharmなどのネット通販がメインになるかと思います。5cm前後の個体が1000円前後で売られています。意外とお買い得です。
寿命は?
3から4年くらいです。
大きさはどれくらいになるの?
最大で25㎝にまで成長すると言われていますが、水槽内では15~20㎝くらいまでが限界かと思います。
成長速度は?
稚魚から飼育したとして、約1年で12㎝に2年で13~17㎝程度に成長します。そこからで成長が止まる個体もいれば、死ぬまでゆっくりと成長する個体もいるという感じですね。
必要な水槽の大きさは?
最大でも25㎝にまでにしか成長しない、ということを考えると単独飼育であれば45㎝規格水槽があれば十分です。混泳する場合でもよほど多数飼育だったり、混泳相手のサイズが大きくなければ60㎝規格水槽で問題ないです。
【関連記事】
60㎝水槽で日本淡水魚を飼育するのに必要な用品とその値段は?
餌は?人工飼料には餌付くの?
生餌を与える場合はめだか、冷凍赤虫、小赤、エビなどになると思います。生餌を与える場合は、栄養に偏りが出ないように、赤虫だけ、小赤だけ、とかではなく、数種類の餌を混ぜて与えたほうが良いです
もしそれが面倒で、かつランニングコストが気になるという方は、人工飼料に餌付かせた方がいいです。栄養バランスも優れていますし、餌からの病気の持ち込みも防げます。
人工飼料をなかなか食べてくれない場合は?
アユカケは正直、人工飼料をなかなか食べない場合が多いです。もしどうしても・・・という場合は以下の流れを参考にしてみてください。
まずは冷凍赤虫に慣らせる⇒その赤虫のにおいを付けたクリルを与える⇒そのクリルのにおいを付けたキャットを与える。この流れで早ければ1~2週間くらいで人工飼料に餌付きます。
上記の方法を試してもなかなか餌付かない場合はこちらの記事【肉食魚・大型魚への人工飼料の餌付け方法まとめ 】をご参考ください。
適切な水温・水質は?
水温に関してはおそらくドンコよりもうるさいです。冬場に関しては室内で飼育していれば特に問題ないですが、夏場で水温20℃を超える状態が長く続くと状態を崩します。なので水槽用のファンでごまかすのでは無く、しっかりとした水槽用のクーラーが必要になってきます。
水質に関しては中性~弱アルカリ性を好みます。また水質の悪化に弱いので定期的な水換え(週1回、全体の水量の1/3)を怠らないようにしましょう。替え
これらのことがあるので、飼育はドンコよりも手間がかかるかと思います。
おすすめのフィルターは?
水質の悪化に弱いので、ろ過能力は大きめのフィルターがいいかと思います。特に理由が無ければろ過力が大きくて管理も簡単な上部フィルターがおすすめです。
また、夏場の酸欠には弱いので、メインのフィルターに加えて水作エイトなどの投げ込みフィルターやぶくぶくをいれてあげるといいです。
おすすめの混泳相手は?
本種は気が荒く、同種多種かまわず攻撃する傾向があるので、本来は単独飼育が望ましいという前提でお話しします。
まずテナガエビも含めてエビ類は餌になるので止めましょう。同様の理由でメダカなどの小魚もだめです。同種同士もおすすめできません。大きさが同じくらいだったら喧嘩するし、差があると下手すると共食いします。
アユカケに危害を加えず、かつアユカケと同じかそれより大きい種類がいいかと思うので、そう考えると大きめのフナやカワムツ、カマツカなどが混泳相手として挙げられます。混泳するならこれらの種類でしょう。
どのように水槽レイアウトにすればいい?
本来夜行性なので、流木や岩で隠れ家を作ってあげると落ち着きます。シェルターをポンと置いてあげるだけでもいいです。
また底砂に関してですが、基本的に本種は底の方にいることが多いので粒が角ばっているようなものは避けましょう。 田砂 (たずな)を使うとそれだけで日淡水槽!という雰囲気を作れるのでおすすめです。また無難に 大磯砂でもいいでしょう。
ちなみに、田砂+流木or岩+水草(なんでもいいけど活着できて抜かれないアヌビアスナナとかミクロソリウムがおすすめ)で、いい雰囲気の水槽レイアウトが作成できます。
ドンコがかかりやすい病気は?
水カビ病や白点病にかかりやすいです。以下に原因と対処法を説明します。特にスレからの水カビ病になりやすいので注意しましょう。
水カビ病
移動によるスレや、水温の低下によって引き起こされることが多いので、網目が細かい網を使ったり、なるべく室内で飼育してあげた方がいいです。また移動時には粘膜保護剤を含んだ水質調整剤を入れてあげましょう。
もしそれでもかかってしまった場合は半分程度の水替えをして、グリーンF ゴールドで、薬浴しましょう。
詳しくはこちら【熱帯魚がかかりやすい病気まとめ~症状・原因・治療法まで~】をご参考ください。
でももちろん病気にはならないほうがいいので、予防法としてこちら【魚の病気の予防法を学ぶ 】も読んでおくといいです。
白点病
水温の急激な低下によって引き起こされることが多いです。なので水カビ病対策と同じように室内での飼育をおすすめします。
もし白点病にかかってしまったら、飼育水を1/2程度替え、グリーンFリキッドを投入します。(アグデン、ニューグリーンFでも対応できます。)また、塩分濃度が0.5%程度になるように食塩を入れてあげると回復が早くなります。
詳しくはこちら【熱帯魚がかかりやすい病気まとめ~症状・原因・治療法まで~】をご参考ください。
でももちろん病気にはならないほうがいいので、予防法としてこちら【魚の病気の予防法を学ぶ 】も読んでおくといいです。
アユカケの飼育法まとめ
いかがだったでしょうか?大きい口を持っていてかわいい一面も持ち合わせている魅力的な種類ですが、飼育難易度が少し高めなので正直、【初心者向けの種類ではない】ということが言えます。
ただ、それでも飼育してみたい!と思ってくれた方はこちらの記事【60㎝水槽で日本淡水魚を飼育するのに必要な用品とその値段は?】で必要な用品とその価格を確認してみてください。
また、難易度が低めでハゼっぽい魚を飼育したいのであればドンコをおすすめします。気が荒いのは同じですが、水温・水質にそこまでうるさくないですし、人工飼料にも慣れやすいので初心者の方にはこちらから始めるのがいいでしょう。
☆ドンコの詳しい飼育法はこちら↓