カワアナゴ(英名Spinycheek sleeper、学名Eleotris oxycephala)は、神奈川県レッドデータで絶滅危惧ⅠB類に分類されている、日本淡水魚の一種です。
なかなか聞きなれない種類かもですが、自宅でも飼育可能で、しかも飼い方はそこまで難しくないです。
後でもお話ししますが、最大25㎝近くまで成長するのでそこまで成長させるとその迫力も楽しめるような種類です。
また、川で捕まえてきたはいいけどどう育てればいいのか分からない・・・という方も多いかも知れません。
なので今回はそんなカワアナゴの飼育法に関して解説していきます。
※ちなみに、川や池で捕まえた魚は普通にショップで買った魚とは扱いが異なるので、詳しくはこちら【川や池で捕まえた魚を持ち帰って飼育してみよう!】をご覧ください。
生態に関して
カワアナゴは、茨意以南の日本各地に分布し、汽水域から下流域に生息しています。夜行性で、小魚や甲殻類を捕食します。
生まれた稚魚が一度海に下る両側回遊魚とされているが、産卵形態などの生活史に関しては詳しく解明されていない、謎の多い魚です。
ただある程度成長したカワアナゴ(一般に売られているくらいの大きさ)であれば純淡水で問題なく飼育できます。
どこで販売されているの?価格は?
一般的な熱帯魚ショップではあまりみないので、根気よく近くの熱帯魚ショップをめぐるか、あきらめてcharmなどのネットショップを上手く活用するしかないです。
値段は2000円~3000円くらいなので、まあ高過ぎず安過ぎず、というところでしょうか。
カワアナゴとドンコの違いは?
カワアナゴと似た種類で、ドンコというハゼの仲間がいます。よく間違えられるようですが、まず見た目は分かりやすく違うかと思います。
【ドンコ】
【カワアナゴ】
カワアナゴの方が口周りがシュッとしていて、ドンコは丸っこい形をしているので、まあ分かりやすいかと思います。
あと、ドンコは一生淡水域で生息するのに対し、カワアナゴ場合稚魚は一旦海に下るので、生活史の違いもあります。
また飼育のしやすさという観点でお話しすると、一般的にはドンコの方が飼育しやすいという意見が多いですね(ドンコは飼育したことはあるのですが、カワアナゴは飼育したことがないので何とも言えないのです。すいません。なのであくまで一般論としてお考え下さい)。
寿命は?
寿命に関してははっきりとは分かっていませんが、15㎝程度に成長するまでは2年はかかるそうです。
最大で25㎝になることを考えると5年は生きるのではないでしょうか。
餌は?人工飼料には慣れるの?
先ほどお話しした通り、自然界では小魚やエビを食べているので、生餌を与える場合はそれらをバランスよく与えましょう。
また、生餌が面倒たという人は、人工飼料に慣れさせることも可能です。
結構個体差がありますが、無理ではないでしょう。ただ、野外で捕まえてきた個体だったりすると、当然ですが全く人工飼料には触れていない状態なので苦戦する可能性が高いです。
まずは生餌を与えて、【この人は餌をくれる人なんだ】と覚えてもらい、その後クリル、もしくは赤虫に慣れてもらいます。
それらになれたところで次はそのにおいを付けたキャットを今まで与えていた餌に混ぜて与えます。
最初は吐き出すかもですが、徐々に食べてくれるようになるはず。それでも苦戦しているようだったらこちらの記事【肉食魚・古代魚・大型魚への人工飼料の餌付け方法まとめ】をご覧ください。
体長は?適切な水槽サイズは?
何度か触れましたが、最大で25㎝程度にまで成長します。ただこれはあくまで自然界での話なので、実際は20㎝程度で止まることが多いです。
それでも20㎝まで成長すれば相当な迫力になるかと思います。
その大きさから逆算すると、単独飼育では45㎝水槽、混泳させるなら(もちろんその混泳相手にもよりますが)60㎝水槽で飼育可能です。
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適切な水温・水質は?
がっつり川の上流に住んでいるという訳ではないので、多少水温上昇には耐性がありますが、やはり30℃を超えると危険なので、水温の上昇は28~29℃くらいに抑える必要があります。
水面に水槽用のファンを当てるという方法で水温を下げるのが一般的ですが、そうすると飛び出してしまう可能性があるので、お使いのフィルターのふたを開けて、そこにファンを当てるようにするといいかと思います。
混泳は可能?
ドンコもそうですけど、こういうハゼっぽい見た目の魚ってだいたい気が荒いので混泳には向きません。
もしするとしたら、カワアナゴよりも大きいフナとかですかね。大きめの鉄魚/テツギョとかでもいけるかもしれません。さすがに金魚との混泳はできないので、金魚とフナとの混血魚であるテツギョを選んでみるのも手かもしれません。
ちなみに、ヒーターを入れてスネークヘッドと混泳させている強者もいます。
※気が荒い同士なので僕はおすすめできないですが・・・
おすすめのろ過器(フィルター)は?
フィルターに関しては、初めての熱帯魚水槽の立ち上げ方・失敗しないコツを解説しますでも話していますが、迷ったら上部フィルターがいいですよ。
ろ過力高いし、メンテナンスも楽ですし。唯一の弱点である見たもの悪さに関しても、まあ慣れます。ブスは3日で慣れる、というのと同じ原理です。
また、上部フィルターであれば夏場にふたを開けてファンを当てるということも容易にできます。
昔は見た目すっきりでろ過力も高い底面フィルターをおすすめしていたのですが、砂利の掃除がめんどくさくて結局止めてしまいました。
面倒くさがりの人が肉食魚を飼育する場合は上部フィルター一択かと思います。
どんなレイアウトにすればいい?
本来夜行性なので、流木や岩で隠れ家を作ってあげると落ち着きます。シェルターをポンと置いてあげるだけでもいいです。
また底砂に関してですが、基本的に本種は底の方にいることが多いので粒が角ばっているようなものは避けましょう。 田砂 (たずな)を使うとそれだけで日淡水槽!という雰囲気を作れるのでおすすめです。また無難に 大磯砂でもいいでしょう。
ちなみに、田砂+流木or岩+水草(なんでもいいけど活着できて抜かれないアヌビアスナナとか、浮かべておくだけでオッケーなマツモがおすすめ)で、いい雰囲気の水槽レイアウトが作成できます。
日本淡水魚におすすめな水草などはこちら【日本淡水魚飼育におすすめの水草8種まとめ】に詳しく書いています。
かかりやすい病気は?
カワアナゴだけ特別かかりやすい病気とかは特にないですが、他の日本淡水魚と同じように水カビ病や白点病にかかりやすいです。以下に原因と対処法を説明します。
水カビ病
移動によるスレや、水温の低下によって引き起こされることが多いので、網目が細かい網を使ったり、なるべく室内で飼育してあげた方がいいです。
もしそれでもかかってしまった場合は半分程度の水替えをして、グリーンF ゴールドで、薬浴しましょう。
詳しくはこちら【熱帯魚がかかりやすい病気まとめ~症状・原因・治療法まで~】をご参考ください。
でももちろん病気にはならないほうがいいので、予防法としてこちら【魚の病気の予防法を学ぶ 】も読んでおくといいです。
白点病
水温の急激な低下によって引き起こされることが多いです。なので水カビ病対策と同じように室内での飼育をおすすめします。
もし白点病にかかってしまったら、飼育水を1/2程度替え、グリーンFリキッドを投入します。(アグデン、ニューグリーンFでも対応できます。)また、塩分濃度が0.5%程度になるように食塩を入れてあげると回復が早くなります。
詳しくはこちら【熱帯魚がかかりやすい病気まとめ~症状・原因・治療法まで~】をご参考ください。
でももちろん病気にはならないほうがいいので、予防法としてこちら【魚の病気の予防法を学ぶ 】も読んでおくといいです。
飛び出しに注意!
先ほども少しお話ししましたが、飛び出します。
ハゼっぽい見た目の魚はもう飛び出すと思った方がいいかと思います。こんなところから?というところからでも飛び出してしまうのでどんな小さな隙間も埋めるようにしましょう。
カワアナゴの飼育法まとめ
ドンコよりかっこいけど飼育はドンコよりも厄介みたいです。
以上です。