ミステリークレイフィッシュ(学名:Procambarus virginalis)とは、メスだけで単為生殖できるという珍しい種類です。しかも日本国内で見つかっています。
その繁殖力のすごさから、近い将来環境省の特定外来生物に指定され、飼育が規制される可能性が高いと言われています。
いつから規制されるのかは定かではないですが、規制されてしまったらガーパイクと同じように、新たに飼育することができなくなってしまうので、もし飼育を考えているのであれば早めがいいかと思います。
今回はそんな、飼育自体は容易でしかも単為生殖できるという極めて興味深い性質を持っているミステリークレイフィッシュの飼育法に関して説明します。
※今はもう新たに飼育はできません!
- ミステリークレイフィッシュの生態に関して
- 日本での販売はされてるの?価格はいくら?
- 寿命は?
- 大きさ・適切な水槽サイズは?
- 適切な水温?野外飼育は可能?
- 餌は何をあげればいいの?青くしたいときの色揚げ用の餌は?
- ろ過器(フィルター)・エアレーションは必要?
- 性格は?多頭飼育は可能?
- どんなレイアウトにすればいいの?
- 繁殖はどうやってさせるの?
ミステリークレイフィッシュの生態に関して
この種の面白いところの一つとして、現在はヨーロッパの各地、日本、マダガスカルでの生息が確認されていますが、【原産地が不明】ということが挙げられます。どこが発生源なのか分からないということですね。それもまた、名前の通りミステリーですね。
また最初にも言いましたがメスだけで増えることができる【単為生殖】という繁殖形態を持ち、各地で生態系に悪影響を及ぼす危険性が指摘されています。
※単為生殖⇒交尾を必要としない繁殖形態です。ミステリークレイフィッシュの場合、メスだけで繁殖可能なので、外部から1匹だけ持ち込まれた場合でも、爆発的に増える可能性があります。
日本での販売はされてるの?価格はいくら?
この記事執筆時点(2020年1月)ではまだ販売されています。価格に関しては安く、300~500円くらいです。
熱帯魚ショップ・ペットショップや、ホームセンターのペットコーナーで販売されています。
もし見つからない場合はcharmなどのネットショップを利用しましょう。ジモティーやヤフオク等で、自家繁殖させた個体を購入することも可能です。
寿命は?
約3年です。
大きさ・適切な水槽サイズは?
最大でも10㎝程度にしか育たないので、30㎝キューブ水槽があれば十分繁殖も楽しめます。
また、ニッソー プラケース 特大 などの大きめのプラケースを用意できるであれば、そこに水作エイトなどの水中ろ過器を入れて飼育可能です。ただ、ボトルなどでの飼育は水質を安定させるのが難しいですし、そもそもザリガニにとって狭すぎるのでおすすめできません。
適切な水温?野外飼育は可能?
水温に関しては10~27℃くらいを好みます。日本に完全に帰化してしまっているので、野外飼育も可能です。
また室内飼育であっても野外飼育であっても基本的には加温は必要ないです。
ただ、抱卵している個体の場合は、他の個体と比べると体力を消費しやすいので、抱卵個体がいる場合は室内で金魚用のヒーターで加温してあげることをおすすめします。
どうやって冬眠させるの?
まずは水温が一定になるよう、室内ではなく野外に置きましょう。
今飼育している水槽に落ち葉を入れてあげれば基本的には問題ないですが、容器を発泡スチロールに変えてあげるとより安全かと思います。
餌は冬眠中は与える必要はありませんが、一応餌として水草を多めに入れてあげるといいでしょう。あと、水が蒸発して干上がってしまうのを防ぐために水はいつもより多めに入れてあげましょう。またその際に酸欠を防ぐためにエアレーションを必ずしてあげましょう。
餌は何をあげればいいの?青くしたいときの色揚げ用の餌は?
普通に飼育するだけであれば、キョーリン ザリガニのエサなどのザリガニ用の餌を与えれば問題ないです。
また、より青く色揚げしたいということであれば青ザリガニの特徴と飼育法(色揚げ・餌・フロリダハマーとの違い等)で詳しく説明していますが、カロチノイドを含んだ餌を豊富に与えることで青が強くなると言われています。
具体的にはランチュウベビーゴールドなどの金魚用の餌を与える人が多いです。また水草をより多く入れて食べさせても色揚げ効果があると言われています。
ただ金魚用の餌だけだとザリガニに必要なカルシウムなどが不足する可能性があるので、あくまでメインの餌にミックスして与えるようにしましょう。
餌をなかなか食べない場合は?
餌を食べない場合は、まず単純に人工飼料に餌付いていない場合があります。そういった場合はまずは煮干し、魚の切り身などを与えつつ、そこに人工飼料を混ぜていきます。餌付きにくい種類ではないのでそのうち人工飼料も食べてくれるようになるでしょう。
また、急に食べなくなったという場合は、水質の悪化や、脱皮の直前ということが考えられます。
ろ過器(フィルター)・エアレーションは必要?
両方ともあった方がいいです。ザリガニ飼育の場合ないがしろにされがちですが、ろ過器に関しては水の汚れすぎを防いでくれますし(臭いと家族からの評判も悪いですしね!)、ぶくぶくに関しては特に夏場の酸欠を防いでくれます。
誤解されることもありますが、ザリガニも魚と同じように基本的にはエラ呼吸です。夏場などに横になってぷかぷか浮いて呼吸しているザリガニの姿を見ることもありますが、あれがいつもの呼吸のスタイルではなく、ザリガニにとってはむしろ異常事態です。なのでろ過器やエアレーションに関しては魚を飼育するときと同じ基準で考えてあげた方がいいです。
先ほど少し触れた、水作エイトであればろ過器としてもぶくぶくとしても働いてくれるのでおすすめです。
性格は?多頭飼育は可能?
他のザリガニと比べると比較的温和な性格ので、隠れ家を多く設置した上ではありますが、多頭飼育可能です。
ただメダカなどの小魚だとやはり餌になってしまうのでおすすめできません。逆に金魚くらい大きいサイズの魚と飼育してしまうと稚ザリガニは食べられてしまいます。
なので多頭飼育する場合でもミステリークレイフィッシュ同士がいいかと思います。
また、コケ取り要因としてラムズホーンなどの貝類入れる場合もあるかと思いますが、意外と食べられます。餌用として割り切るのであればいいと思いますが、一緒に飼育する、というのは難しいかもしれません。
どんなレイアウトにすればいいの?
ふつうに飼育するのであればベアタンク(底砂として砂利も何も敷かない飼育スタイル)で問題ないですが、ただ先ほど触れた青をより濃く出したいとかであれば砂利を敷いてあげた方がいいです。
ベアタンクだとどうしても白っぽく色が抜けた感じになってしまいます。
底砂を敷くとその掃除をしないといけないというデメリットもありますが、ごみも舞わないですし、見た目も格段に良くなるのでおすすめです。
また単独飼育であっても多頭飼育する場合でも土管などの隠れられるものを入れてあげた方がより落ち着いてくれます。
水草に関しては、ザリガニの餌になるので餌だと割り切って入れるぶんには問題ないです。どうしても食べられたくないという人は人工水草を入れてあげるしかないですね。
あと、本物の水草を入れる時なのですが、外国産の水草は農薬が付いているので必ず国産の水草にしましょう。農薬には一発でやられます。なのでここは最大限の注意を払いましょう。
繁殖はどうやってさせるの?
実はミステリークレイフィッシュはメスしかいません(オスに関してはこの記事の執筆時点では発見されていません)。なのでメス単独でどんどん増えます。
繁殖方法とかは特になく、普通に飼育していれば勝手に増えます。
なかなか繁殖しない場合はどうすればいいの?
金魚などと同じで、水換えがスイッチになる場合もあります。また多頭飼育すると食べられるという危機感から頻繁に繁殖するケースもあります。
個体にもよりますが、わりとこういったストレスやショックを与えると繁殖に至るケースが多いです。