ノーザンバラムンディ(Gulf saratoga)は、別名サラトガとも呼ばれる、オーストラリアに生息している古代魚の仲間です。アロワナによく似ていますが、細かく見ると鱗だったり、体型が異なっており、アロワナとはまた別の魅力をもった種類です。また、体色に関しても成長にともなって銀色から金色に変わるので、色味の変化も楽しめます。今回はそんな、ノーザンバラムンディの飼育法に関して解説します。
- アロワナとノーザンバラムンディの違いは?
- どこで販売されているの?値段は?
- 寿命は?
- 最大サイズは?
- 適切な水槽サイズは?
- おすすめのフィルターは?
- おすすめの照明(ライト)は?
- 水槽はどんなレイアウトにすればいい?
- 適切な水温・水質は?
- 混泳できるおすすめの種類は?
- 餌は?人工飼料には慣れるの?
- ノーザンバラムンディがかかりやすい病気は?
- 色揚げさせたい場合は?
- ノーザンバラムンディの飼育法まとめ
アロワナとノーザンバラムンディの違いは?
アロワナとノーザンバラムンディのって似てますよね。ただ細かい点をみると結構異なるところも多いので、そこらへんをまとめますと・・・
①サイズ
⇒シルバーアロワナは1m近く、アジアアロワナは水槽内でも50㎝には成長します。一方ノーザンバラムンディは40~50㎝くらいで成長が止まることが多いです。
➁体型
⇒ノーザンバラムンディのほうが体高が高くなります。よりずんぐりとした体形になります。
➂鱗
⇒ノーザンバラムンディのほうが鱗が硬く大きいので、体が硬く柔軟性がありません。
④ヒレ
⇒アロワナはヒレと尻尾の境目が近い(ほぼくっついている)ですが、ノーザンバラムンディはヒレと尻尾がアロワナに比べて離れています。
➄体色
ヒレも含めて、美しいピンク色の斑点が体全体にいります。
どこで販売されているの?値段は?
ある程度大きなショップではよく見かけるかと思います。また、近くにショップがなかったり、またあまり大きなショップではなくてなかなかノーザンバラムンディを見かけないという場合に関しては、charm などのネット通販を使うといいでしょう。値段に関しては、10㎝ほどの稚魚が5000~8000円くらいで販売されています。シルバーアロワナより高くてアジアアロワナより安いというイメージですね。
寿命は?
環境にもよりますが、平均で7~8年くらい、長いと15年以上も生きてくれます。
最大サイズは?
最大サイズは、自然界だと1m近くにまで成長するらしいですが、水槽内だと大きくても60㎝くらいです。ほとんどの個体は40~50㎝くらいで成長が止まります。
成長スピードはどれくらい?
もちろん個体差・飼育環境の影響はありますが、10㎝くらいの稚魚を購入したとすると、半年で30㎝くらいになります。そこから、水槽内での最大サイズ(40~50㎝)に成長させるのに2~5年くらいかかります。
適切な水槽サイズは?
上でも述べたように、本来であれば120㎝水槽はほしいです。ただ、最大で40~50㎝ということを考えると90×60×45㎝水槽でも飼育は可能かと思います。ただ、見た目はすこし窮屈に見えるかもしれません。90×45×45㎝水槽に関しては・・・・なんとも言えません。個体によっては可能かもしれませんが、エラめくれだったり、顎ずれの原因になったりするので、個人的にはおすすめできません。
30㎝になるまでは60㎝水槽で、それ以降は奥行きが60㎝以上ある120㎝水槽か、90㎝水槽を用意してあげるのがいいかと思います。
盆栽飼育は可能?
基本的に盆栽飼育に関してはノーザンだけでなくどんな種類でもおすすめはできません、ということを前提でお話しします。まず、どんな個体であっても60㎝水槽での飼育は無理ですが、個体によっては餌の量を調整すれば90×45×45㎝水槽で飼育可能かもしれません。ただ、どこかに異常をきたした場合に関してはすぐに90×60×45㎝以上の水槽に移してあげましょう。
・・・・とかいろいろと考えると、ケチって90×45×45㎝水槽で無理やり飼育するよりも、最初から90×60×45㎝以上の水槽を用意してあげた方が、経済的にもノーザン的にもいいかなと思います。
おすすめのフィルターは?
大型魚で水を汚すので、上部フィルターか、オーバーフローを使用しましょう。また、酸欠によってエラめくれが引き起こされる可能性があるので、これらに加えてエアレーションも忘れずに行いましょう。
また、強い水流にストレスを感じてしまうので、水流を弱くできる場合は弱くしてあげて、調整ができない場合はフィルターの水の排出口を水槽の壁面に向けるなどして対応しましょう。
おすすめの照明(ライト)は?
まあなんでもいいといえば何でもいいのですが、自分が目指している体色に近いものを選ぶといいです。例えば赤っぽくしたいのであれば赤っぽいライト、シルバーを強調させたいのであれば白っぽいライト、を選ぶような感じです。なので色にそういったこだわりがないのであれば、なんでも大丈夫です。
水槽はどんなレイアウトにすればいい?
暴れたりして体に傷がつくのが怖いのもありますし、日々の管理を楽にするためにも、ベアタンクか、もしくは底砂を敷くだけ、などできるかぎりシンプルなレイアウトがいいです。もし入れるとしてもワンポイントで流木だけ、とかのほうがいいです。
水草は入れた方がいいの?
見た目は入れた方がいいですが、大型魚飼育の場合どうしても苔に悩まされる場合が多いです。なのでコケの対処がめんどくさくないのであれば入れてもいいでしょう。もし入れる場合は、植える系の水草だと抜かれてしまう可能性が大きいので流木などに活着させられるアヌビアスナナやミクロソリウムなどがいいと思います。
適切な水温・水質は?
水温は一般的な熱帯魚と同じように25~28℃くらいです。ただ幼魚の場合は白点病予防のため28℃くらいをキープしたほうがいいです。
水質に関しては弱アルカリ性を好みますが、基本的に丈夫な種類なのでそこまで気にしなくても大丈夫です。ただ、酸性に傾きすぎると体調を崩すので、こまめな水替えを心がけましょう。
混泳できるおすすめの種類は?
ノーザンバラムンディは気性が荒いので、基本的には単独飼育がいいかと思います。もし混泳させるのであれば、①ノーザンの口に入るような大きさの魚は避ける➁なるべく大きい水槽に入れる➂大きさをできるだけ合わせる、この3点に注意しまして混泳を始めましょう。
全体的な傾向として、アジアアロワナ、シルバーアロワナ、との混泳は上手くいっていいないケースが多いです。なので、混泳相手としてはポリプテルスエンドリケリー、オスカー、カショーロ(意外と気象は荒くない。口に入るサイズでなければ興味を示さない)、ガー、セルフィンプレコ、オセレイトスネークヘッド(フラワートーマン)、パロットファイヤー、カイヤンなどが候補に挙がるのではないでしょうか。
ただ、ノーザンに関しては気が荒い種類として有名なので可能な限り単独飼育をさせた方がいいです。混泳にチャレンジする場合は、ダメだった場合も考えて必ず予備の隔離する用の水槽を用意しましょう。
餌は?人工飼料には慣れるの?
生餌を与える場合は、幼魚の時は赤虫、アカヒレ、メダカなど、口に入れやすいものを選んであげましょう。大きくなるにつれて赤虫を餌として認識しづらくなるので、その代わりに冷凍エビだったり、ミルワーム、コオロギなどを与えます。またアカヒレ、メダカから金魚に変更しましょう。現地では小魚だけでなく、昆虫なども食べているので、レパートリーに富んだ餌を与えます。
これらのことが面倒くさいということであれば人工飼料に慣れさせるというのもいいかと思います。特に餌付きづらい種類ではないので、なるべく幼魚のうちにまず冷凍赤虫・クリルに餌付ける(反射で食べてくれるようになるまで)⇒そこにカーニバルを混ぜて与える⇒最初は吐き出すがそのうち食べてくれるようになる・・・ということを根気よく続けていけばだいたい餌付きます。
☆参考記事↓
餌を食べないんだけど・・・。拒食?
拒食の原因は多岐にわたるので、いろいろと対策を講じてみるしかないのですが、ノーザンバラムンディの拒食の場合、水槽が狭すぎることが原因になっていることが多いです。なのでまずは水槽の大きさが適切かチェックしましょう。例えば、30㎝に到達したのにまだ60㎝水槽のままになっていないか?とか、40㎝に到達しているのに90×45×45㎝を使用しているとか・・・。
ただ、水槽を大きくしても拒食が治らない場合は、原因がほかにあるので、そういった時はこちらの記事【スネークヘッド・大型魚・古代魚の拒食症を防ぐ 】をご覧ください。
ノーザンバラムンディがかかりやすい病気は?
特に幼魚の頃は白点病にかかりやすいので、28℃くらいで飼育するといいかと思います。また、病気とは少し違いますが、顎ずれやエラめくれを発症することがあります。以下にこれらの対処法をまとめます。
ちなみにアロワナの飼育の宿命ともいえる目垂れにはならない(なった例を聞いたことがないです)のは安心ですね。
白点病にかかってしまったら?
古代魚の仲間なので、他の魚より魚病薬には弱いです。なので、白点病の初期症状であれば
①2、3日かけて水温を2~3℃上げる
②塩分濃度が0.5%になる様に塩を入れる
③毎日1/3の水替えをする
という対応で自然治癒を狙いましょう。
ただ、症状が進んでしまっている白場合は、投薬しないほうがまずいので、迷わず魚病薬を使いましょう。対処法を以下にまとめます。
◆重症化した場合
飼育水を1/2程度替え、グリーンFリキッドを投入します。(アグデン、ニューグリーンFでも対応できます。)また、塩分濃度が0.5%程度になるように食塩を入れてあげると回復が早くなります。
顎ずれになった場合は?
まず、顎ずれになってしまう原因の一つとして、遺伝の問題が挙げられます。その場合はもうどうしようもないのですが、そうでなければ偏りなく餌を与える、水槽を大きくすることで治ることが多いです。
エラめくれになった場合は?
水質の悪化、水槽の大きさ、ストレスなどが原因で発症することが多いです。なので水替え、水槽を大きくする、ストレスの原因(混泳魚、周りの物音、水流が強すぎる)の排除、などで対応していきます。
もしそれでもなかなか治らない場合は、切除手術を行う必要があります。下の動画はアジアアロワナのものですが、ノーザンバラムンディであってもやり方は同じです。
☆切除手術の方法↓
色揚げさせたい場合は?
もともと持っているポテンシャルが違うので、赤系のアジアアロワナ並みに赤くするとかは無理ですが、多少赤みを強くすることはできます。まず底砂を敷いていないなら敷いてあげましょう。ガーネットサンドが一般的かと思います。また、赤系のライトを使うのもありです。
あと、僕もかなり驚いたのですがキョーリンの、レッドバルが本当すごいです。キョーリンのサイトで、レッドバルを与えた個体の色揚げ効果がどれくらいあるのかの実験が載ってるのですが、だいぶ赤味が強くなっていました(アジアアロワナの実験なので、ノーザンの場合はここまで赤くはならないですが、それでも他の餌よりは色揚げ効果が期待できます)。以下のリンクから実験結果を確認できます↓
ノーザンバラムンディの飼育法まとめ
いかがだったでしょうか?なんかいろいろと書いてしまったので、【ノーザンバラムンディって飼育するの難しそう・・・】と思ってしまったかもしれませんが、基本的に丈夫な種類なので、ご安心ください。ただ、体が硬いということもあり、水槽が小さいことによる弊害を他種よりも受けやすい印象があるので(あくまで印象ですが)、水槽の大きさは特に気を付けてあげましょう。そこさえクリアしてしまえばそこまで難しい種類ではないので、ぜひ飼育にチャレンジしてみてくださいね。