タライロンは南米に広く生息しており、その姿形からアマゾンのシーラカンスとも呼ばれています。また、タライロンというのはポルトガル語で【裏切者】という意味もあるので、なんだか呼び名が多い魚です(笑)。
もちろん水槽でも飼育できますし、丈夫ではあるのですがその獰猛な性質から、初心者にも飼育しやすいか?と言われるとなんとも言えないのですが、牙魚としても魅力はかかなりあると思うので、注意点も伝えつつタライロンの飼育方法を説明していきます。
- タライロンの種類と分類に関して
- 価格は?
- 寿命は?
- 大きさ・適切な水槽サイズは?
- 適切な水温・水質は?
- 餌は?人工飼料には餌付くの?
- 混泳は可能?
- おすすめのフィルターは?
- どんなレイアウトにすればいい?
- かかりやすい病気は?
- その他飼育で気を付けること
- タライロンの飼育法まとめ
タライロンの種類と分類に関して
タライロンと一口に言っても、実はその中での何種類かに分かれており、日本で目にするのはブラックタライロン(学名:Hoplias curupira)、先日紹介したタイガーホーリー(学名:Hoplias malabaricus)、あとはなかなか入荷はしないですが、リアルタライロン(学名:Hoplias macrophthalmusもしくはHoplias aimara)がメインではないでしょうか。牙魚最強の魚としても有名な魚ですが、最大サイズなども考えるとおそらくこの”リアルタライロン”を指しているものだと思われます。
また、リアルタライロンもさらに細分化されていて、アイマラ種とマクロフタルムス種の2種類がいます。
リアルタライロンの入荷は稀なのでかなり高価です。
タライロンとタライーラの違いは?
こちら、よくある疑問ですが、先ほども書いた通りタライーラ=タイガーホーリーとされていることが多く、またタライロン=リアルタライロンを指すことが多いので、そう考えると別種であると言えます。
また最大サイズも違うので最後まで飼育したら分かると思うのですが、形態的な違いで言うと結構見分けるのは難しかったりします。
一番わかりやすいのはエラ蓋外縁膜の真ん中あたりに、黒い斑紋が認められるというところでしょうか。10㎝くらいの個体であればはっきりと確認できます。
【参考画像↓】
価格は?
価格は、タイガーホーリー⇒ブラックタライロン⇒リアルタライロンの順で高くなっていきます。
大きさにもよりますが、タイガーホーリーが2500~3000円、ブラックタライロンが10000~20000円、リアルタライロンが20000~150000円くらいです。
寿命は?
5~20年と、資料によって幅があります。
大きさ・適切な水槽サイズは?
まずは大きさから説明します。これも種類によって異なり、タイガーホーリーが最大50㎝、ブラックタライロンが最大50~60㎝、リアルタライロンが最大1mくらいです、ただ、水槽内でここまで大きくなることは稀なので、この数値×0.8が水槽内での最大サイズと考えていただければいいかと思います。比較的小型のタライロンを飼育したい場合は、タイガーホーリーかブラックタライロンがいいと思います。
そこから考えると、必要な水槽サイズはタイガーホーリーとブラックタライロンが90㎝水槽、リアルタライロンが120㎝水槽ですかね。
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成長速度は速い?遅い?
成長速度は比較的遅めです。なのでタイガーホーリーとブラックタライロンであれば必要水槽サイズから一つ下げた60㎝水槽で、リアルタライロンであれば90㎝水槽であっても長期間飼育可能です。
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適切な水温・水質は?
水温は他の熱帯魚と同じように23~28℃くらいを好みます。またヒーターには必ずカバーをしましょう。30㎝を超えた個体だと噛む力も強いので噛まれて破損してしまう可能性があります。
水質は中性付近を保っていれば問題ないです。基本丈夫なので、定期的な水換えを行っていればそこまで神経質になる必要はありません。
餌は?人工飼料には餌付くの?
生餌を与える場合、大きさに合わせて赤虫、メダカ、小赤などを与えます。大きくなってエサ代がかさんでしまう、という場合はスーパーで牛ハツやワカサギを買って与えてもいいでしょう。どっちにしても栄養が偏らないようにバランスよく与えましょう。
またそれが面倒くさい場合は人工飼料に慣れさせることも可能です。ただ、基本は待ち伏せタイプなので人工飼料には慣れやすいタイプではないです。根気よくいきましょう。まずは冷凍赤虫に慣れさせて、その中にカーニバルやキャットを混ぜて与えるといいです。上に来る個体にはカーニバル、来ない個体はキャット、という感じでいいかと思います。
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混泳は可能?
多少の小競り合いでもその鋭い牙で致命傷になる可能性があるので、基本的には単独飼育がおすすめという前提でお話しします。
その中でもブラックタライロンに関しては意外と温和なので、タライロンの中では比較的混泳は上手くいきやすいです。なのでタライロンの混泳をしてみたい!という場合はブラックタライロンから始めてみるといいと思います。
混泳相手としてはポリプテルスエンドリケリーなどの大型のポリプテルスが選ばれることが多いです。またスッポンモドキと混泳している珍しい例もあります。
あと、これはタライロンに限ったことではないですが、もともとタライロンを飼育していた水槽にもう1匹投入するとなると、かなり混泳難易度は上がってしまうんで、可能であれば同時に水槽に投入してあげた方がいいです。また2匹だと片方が一方的にやられてしまう可能性があるので、3匹以上での混泳を心がけましょう。
【混泳例】
おすすめのフィルターは?
水を汚しやすいので、特に理由が無ければ上部フィルターをおすすめします。ろ過力が高いですし、メンテナンスも楽です。
どんなレイアウトにすればいい?
見た目を気にしないのであればメンテナンス面を考えて、本当はベアタンク(レイアウトなし+底床もなにも敷かない)がおすすめです。
もしそれが殺風景で嫌、という方は底床を薄く敷く+アヌビアスナナなどを巻き付けた流木を1つ置く、くらいにしておいた方がいいです。
かなり大きい水槽で飼育したり、よほど管理に自信がない限りこの手の大型魚の飼育ではきれいなレイアウトはあきらめた方がいいかもしれません。
かかりやすい病気は?
基本的に丈夫な種類なので、導入時の白点病さえ気を付ければそこまでかかりやすい病気はありません。
ただ、いわゆる【古代魚】の一種なので、魚病薬には弱いです。なので予防が大切になります。導入時の水合わせに手を抜かなことと、日々の観察・メンテナンスが肝になってきます。ただ、それでもかかってしまった場合、まずは魚病薬なしで完治を目指します。
◆自然治癒の方法
2~3日かけて水温を2~3℃上げる、塩分濃度が0.5%になる様に塩を入れる、毎日1/3の水替えをする、という餌を多めに与える、という対応で自然治癒を狙いましょう。
1週間経っても快方に向かっていなければ魚病薬を使用します(完治していなくても、白点の数が少なくなっているなどの、何らかの変化が見られていたらそのまま継続で大丈夫です)。
◆魚病薬の使用
グリーンFリキッド、アグデン、ニューグリーンFなどの白点病治療薬を投入します。この時、ろ材として活性炭などの吸着系ろ材を使っていると薬の効用も吸収してしまうのでそれらを抜いてから投入します。
あとはその薬の説明欄に書いてあるように対処します。
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その他飼育で気を付けること
◆噛みつき
ご存知の通り鋭い牙を持っているので、餌を与える際に噛まれないようにしましょう。特に慣れている個体は要注意です。
◆飛び出し
けっこう飛び出します。こんな隙間から?と思うような小さな隙間からも飛び出すので油断しないようにしましょう
タライロンの飼育法まとめ
いかがだったでしょうか?飼育自体はそこまで難易度が高い種類ではないので、単独飼育でかつ大きめの水槽を用意できるのであれば飼育に苦労することはないでしょう。
ただ、噛みつかれるリスクがあるので、初心者向きの種類かと言われるとなんとも言えないところです。
もしタライロンを飼育したいけどもう少し小型の種類から始めたいという方はオレンジフィンキリーホーリーをおすすめします。タライロンではないのですが、割と似ていますし(笑)、60㎝水槽で飼育できます。
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