ABYの熱帯魚図鑑

初心者の方でも、初めて熱帯魚を飼育する方でも分かりやすくお伝えできればと思います。よろしくお願いします♪ちなみにABYとはアクアブロガーよしきの略です(´・ω・`)

ミドリフグの飼育法(淡水で飼育可能?餌・大きさ・混泳など)

ミドリフグ(学名:Dichotomyctere nigroviridis 英名: Green spotted pufferfish)は別名グリーンスポッテッドパファとも呼ばれ、僕が大好きな淡水フグと同じように人に良く馴れる(なつくとはまたちょっと違いますが・・・)種類です。

ただ淡水フグとは違い汽水での飼育が基本になるので、難易度は少し上がります。

今回はそんな、ミドリフグの飼育法に関して説明していきます。

 

どこで販売されているの?

一般的な熱帯魚ショップであれば見かけることは多い種類かと思います。また近くに熱帯魚ショップがなかったとしても charmなどのネットショップを利用すれば容易に見つけることが可能です。

ちなみに、UFOキャッチャーの景品としても見かけますが(最近はあまり見かけませんが)、当然ですがおすすめできません。

熱帯魚ショップで売られている個体よりも確実に状態は悪いので、勢いで取ってきたけど飼い方分からないから調べてます!という人以外は普通に熱帯魚ショップ(ネットショップでも可)で購入した方がいいかと思います。 

価格は?

3~5㎝くらいの稚魚が600~800円くらいで販売されています。

寿命は?

約5年です。

大きさ・適切な水槽サイズは?

最大で17㎝くらいの個体も見つかっていますが、水槽内ではせいぜい10㎝前後でしょう。

よって単独飼育であれば30㎝キューブ水槽でも飼育可能です。ただ、この30㎝キューブ水槽が単独飼育の下限だと覚えておいたほうがいいでしょう。

汽水での飼育ということもあり、純淡水での飼育よりも水質を安定さえるのが難しいので、ある程度の水量は確保しておいた方がいいです。

よって金魚鉢での飼育や、30㎝キューブ水槽未満の大きさの水槽での飼育はおすすめできません。リトルアクアリウムというシリーズで、ミドリフグ飼育セットが売られてますが、個人的にはおすすめできません。

30㎝キューブ水槽であればだいたい水量が25Lなのに対し、リトルアクアリウムは6.5Lしかありません。約4倍の差があります。当然ですが水量が少なければ少ないほど水質は悪化しやすいので、初心者ほどある程度の大きさの水槽を選んだ方がいいです。

 

適切な水温・水質は?塩分濃度はどれくらい?

水温は24~29度くらいを好みます。普通の熱帯魚と変わらないと覚えておけばとくに問題ないかと思います。

水質は弱アルカリ性を好みます。底砂としてサンゴ砂を敷いたり、もしベアタンク(底砂を何も敷かずに飼育するスタイル)の場合はろ過槽にサンゴを入れるなどして弱アルカリになるように調整しましょう。

塩分濃度に関してですが、だいたい海水の塩分濃度が3.4%前後なので、汽水ということでその半分~1/3の塩分濃度となります。

ただ、飼育する際は塩分濃度ではなく、【比重】という指標を用いて塩分量を調整します。比重については、ミドリフグの場合1.004~1.010くらいを好みます。

ここに関しては販売されているショップに比重を確認した方が無難かと思います。

この比重の計り方ですが、全く難しいことは無く、テトラ ハイドロメーターなどの比重計を使って誰でも簡単に計ることができます。

大人になるにつれ塩分濃度をあげた方いいかも?という意見もあるようなので、そこに関しては飼育している個体の様子を見つつ調整していきましょう。

 完全純淡水での飼育は可能?

淡水域に住んでいるミドリフグもいるので、【純淡水飼育可能】という説明書きがあれば(そのショップが嘘をついてなければ)淡水飼育可能です。

ただそういった表記が無ければ基本的に淡水での飼育はやめた方がいいです。

そこまで淡水で飼いたければ、メコンフグなど、ミドリフグに似ていて純淡水で飼育可能な種類を買ったほうがいいかと思います。

餌は?人工飼料には餌付くの?

自然界では小型のエビや貝をメインに食べています。よって、エビの切り身やアサリなどを与えられれば理想的かと思いますが、これらを定期的に与えるのはコスト手的になかなか大変かと思うので、人工飼料に慣れさせたほうがいいです。

また、人工飼料の選択肢として金魚の餌を選んでる人もいますが、個人的にはあまりおすすめできません。確かに雑食性ではあるのですが、あくまでメインは動物性たんぱく質なので、完全なる雑食性である金魚用の餌だと、ミドリフグにとっては植物質のものを多く含みすぎている可能性があります。 

ちなみにミドリフグは、淡水フグたちと比べると比較的人工飼料には慣れやすい印象です。冷凍赤虫→クリル→人工飼料(キャット、カーニバルなど)の順で慣れさせればだいたい大丈夫かと思います。

クリルに関しては、フグ専用のパファクリルというクリルが販売されており、餌付き具合が他の普通のクリルと比べると段違いなので、個人的にはめちゃくちゃおすすめです。意外と冷凍赤虫→クリルの段階で苦戦するパターンが多いのですが、フグ飼育においてはこのパファクリルが大きく手助けしてくれることでしょう。

ただ個体によってはなかなか餌付けが進まないこともあるかもしれませんそういった場合はこちらの記事【肉食魚・古代魚・大型魚への人工飼料の餌付け方法まとめ 】をご覧ください。

性格は?混泳は可能?

淡水フグ全般もそうですが、基本的に性格は荒い個体が多いです。

混泳は同種同士ならうまくやっている人が多いです(それでも多少の小競り合いはあります)。それ以外だとバンブルビーフィッシュなんかとは上手くいっているケースが多いですね。

イソギンチャクとの共存も憧れますが、そもそもイソギンチャクは完全なる海水ですし、それ以前に、ミドリフグにはイソギンチャクの毒に対する耐性が無いので止めたほうがいいと思います。

おすすめのフィルターは?

上部フィルターを使用できるのであれば上部フィルターがいいかと思います。メンテナスが楽ですし、なによりろ過力が高いです。

海水や汽水では、淡水よりもアンモニア濃度が高くなりやすいので、なるべくろ過力が高いフィルターを使用してあげましょう。

ただ、強すぎる水流は嫌うので、もし水流を嫌がっている素振りを見せていたら水の排出口を水槽壁面に向けるなどして水流を弱めてあげましょう。

また、メンテナンスはめんどくさいですが、細かく底床の掃除もできるのであればろ過力の高い底面フィルターもいいかと思います。

メンテナンスのしやすさとか、ろ過力の大きさとかよく分からない!という方はこちらの記事【水槽用フィルターのろ過力・性能を徹底比較!それぞれおすすめ機種も紹介します 】をご覧ください。

エアレーションした方がいい?

メインのフィルターとは別にエアレーションはしてあげた方がいいです。

なぜなら、前述しましたが海水や汽水ではアンモニア濃度が上がりやすく、エアレーションを行うことによってろ過バクテリアがより活発に働き、アンモニアを分解してくれるからです。

アンモニアとかろ過バクテリアとかよく分からない!という人はこちらの記事【水槽内でのバクテリアの役割とは?【バクテリアの種類も解説するよ】】をご参考ください。

水換えの頻度はどれくらいがベスト?

これに関しては特に決まってはないですが、1週間に1回、全水量の1/3程度換えるのが一般的です。

また、しつこいようですが海水や汽水はアンモニア濃度が上がりやすいので、これ以上頻度を下げるのはやめた方がいいでしょう。

逆に一度に全部の水を換えるのもやめた方がいいです。なぜなら、せっかくアンモニアを分解してくれるバクテリアも一緒にいなくなってしまうからです。あと水質も急変するので、よほど水槽内の環境が悪化しない限り全換水はしない方がいいです。

僕もほとんどしません。

歯切りはどのようにすればいいの?

自然界では、貝を食べるときとかエビを食べるときにかけたりするのですが、水槽内で飼育しているとそういった機会も減ってしまうので、そうすると歯が伸び切ってしまうことがあります。

岩を入れたりすると多少伸びは抑えられたりもしますが、個体によってはどうしても伸びすぎてしまうことがあります。

そういった場合には歯をニッパーやハサミなどで切る必要があります。

明確なこれ!といったものは特にないのですが、『なんとなく餌食べづらそうにしてるなー』というところが基準になるかと思います。

【参考動画】

www.youtube.com

どんなレイアウトにすればいい?

まず底砂に関しては、弱アルカリ性を保つために、サンゴ砂を敷くのがいいでしょう。 

土管なども入れてあげるといいでしょう。混泳している場合は、いじめられた時の逃げ場所になりますし、水流が強い場合にもいい逃げ場所になります。

また、生きたサンゴを入れたいという人もいるかもですが、ミドリフグとサンゴでは好む塩分濃度・比重が違うので止めた方がいいです。

※サンゴは完全な海水に生息しているので、比重は1.022以上は保ちたいです。一方ミドリフグが好む比重は1.008~1.010です。

 

コケ対策

これは別にミドリフグ飼育に限った話ではないですが、飼育しているとどうしても苔が生えてしまいます。

まあ別に生体にとっては悪影響はないので、別にいいと思う人もいるかもですが、どうせなら見た目もきれいにしておきたいじゃないですか。

ということで具体的なコケ対策方法をざーっと羅列します。

・ライトの照射時間を短くするor自然光に任せる

→これが一番効きます!

・餌の量を減らす

・水換えの頻度をあげる

コケ抑制剤を入れる

→これもけっこう効きますが、1度に入れないといけない量が多いのですぐになくなってしまいます。お金に糸目をつけないのであればおすすめ。

・生物兵器を入れる

石巻貝は塩分に耐性があるのでおすすめ!

かかりやすい病気は?

かかりやすいと言えばやはり白点病や尾ぐされ病・口ぐされ病でしょうか。金魚でおなじみの転覆病になってしまう個体もいます。

以下、症状・原因・治療法になりますが、基本的に薬には弱いので、換水頻度をあげたり、塩分濃度を上げたりして自然治癒を狙った方がいいです。

それでもダメな場合のみ、魚病薬を使用しましょう。

白点病

◆症状

魚の体に白い点がぽつぽつと現れる。

 

◆原因

水温の急激な変化(特に25℃以下になると発病しやすいです)、外部からの持ち込みなど。

 

◆治療法

まず、水槽の1/3~1/2の水換えを行い、白点虫を追い出します。その後、ニューグリーンF、アグデン、グリーンFリキッド、グリーンFクリアーなどを投入して薬浴します。

 

尾ぐされ病・口ぐされ病

◆症状

尾や口に血がにじむ。症状が進行すると発症部分が溶ける。それが尾に発症したら尾ぐされ病、口に発生したら口ぐされ病になります。

 

◆原因

水質の悪化、輸送や網によるスレ傷により粘膜液の分泌が低下、外部からの持ち込みなど。

 

◆治療法

飼育水を1/2程度換え、観パラDorグリーンFゴールドorエルバージュエースを投薬。

薬の強さとしては、こんな感じ↓

グリーンFゴールド < 観パラ <エルバージュエース

病気の進行度に合わせて使ってください。

 

転覆病

◆原因

金魚に起こりやすい病気です。お腹を上に向けてしまう病気です。

 

◆症状

詳しい原因は不明ですが、餌の消化不良により体内にガスが溜まり発症するケースが多いようです。また水質悪化が引き金になる場合もあります。

 

◆治療法

餌をいったん止め、飼育水を1/2程度換えましょう。初期症状であればそれで治ることもあります。

これ、といった治療法がないので上記で無理ならあきらめるか、ネットでいろいろ検索して解決方法を見つけるしかないでしょう。

ただ、上記2つの病気とは違い、これが直接の原因で死ぬことは無いので、餌を食べられる状態なら、転覆病の症状が出たまま飼育するということも可能です。

 

病気になる前に・・・

病気になってからの適切な対処も必要ですが、もちろん病気にならないことが一番ですよね。そのためには定期的な水換えと観察が大切になってきます。

息が荒い・色が薄い、黒い、底の方で動かない、などの症状をほおっておくと病気になってしまうことがあるので、いじめられてないか?水温・水質は適切か?水流は強すぎないか?などを確認しましょう。

【参考記事】

魚の病気の予防法を学ぶ 

ミドリフグって初心者向き?

今まで読んでくれていれば分かるかと思いますが、初心者向きの種類ではありません。確かにかわいいんですけど、ある程度飼育経験を積んだ上で挑戦したほうがいいかと思います。

ただ、個人的には『ミドリフグに似ていて、かつ飼育が簡単な種類もいるから、わざわざ飼育が大変なミドリフグにこだわらなくても良くない?』と思っています。

代表的なところで言うとアベニーパファーですよね。ミドリフグより小さいですが、飼育は簡単ですし、混泳も可能です(もちろん多少の喧嘩はあります)。

あと大きさが物足りなけば、こちらは混泳はできないですけど、メコンフグなんてのもいます。実際飼育したこともありますが、可愛くて飼育しやすいです。

ミドリフグの飼育法まとめ

初心者はミドリフグではなく気に入った淡水フグを飼育しましょう。