まず最初に言っておくと、シルバーアロワナは一般家庭で飼育するには現実出来ではないサイズにまで成長する魚です。
最低でも水量1tクラスの水槽が必要になってくるでしょう。場合によっては床の補強工事が必要かもしれません。お金持ちで、かつそれくらいのスペースを取れる環境を整えられる人でないと飼育は難しいでしょう。
なのでこの記事の目的としては、もちろん第一はシルバーアロワナの飼育法ではありますが、第二の目的はシルバーアロワナの飼育をあきらめてもらうことです(笑)。
犬とか猫を飼育するのと同等かそれ以上の覚悟が必要になります。その覚悟は無いけどかっこいい古代魚が飼育したい、ということであればポリプテルスセネガルスなどの小型のポリプテルスか、形が似ているノーザンバラムンディくらいで手を打っておきましょう。
ノーザンバラムンディでも結構飼育が大変だと気付けると思います。
- どこで販売されているの?価格は?
- 寿命は?
- 大きさ・適切な水槽サイズは?
- 適切な水温・水質は?
- 餌は?人工飼料には餌付くの?
- 混泳は可能?
- おすすめのフィルターは?
- どんなレイアウトにすればいい?
- 病気などの対応
- シルバーアロワナの飼育法まとめ
どこで販売されているの?価格は?
一般家庭では飼育困難にもかかわらずけっこうどんな熱帯魚ショップにも売られています。価格も安価で、10㎝前後の個体が3000~5000円くらいで販売されています。もし近くにそういったショップがなくてcharmなどのネットショップを利用すればこれまた容易に購入することができます。
寿命は?
10年以上は生きます。また個体によっては30年以上生きるものもいます。
大きさ・適切な水槽サイズは?
現地では1.2mを超える個体も確認されていますが、水槽内では成長しても1mくらいです。平均だとだいたい70~80㎝くらいにまで成長します。
よって最低でも180×90×60㎝クラスの水槽が必要となり、水を入れるとほぼ1tになるので、置く場所などはよく考えないといけません。
また盆栽飼育(無理やり小さい水槽で飼育すること)も本種はできません。なぜなら体が非常に柔らかいので、普通の魚であれば水槽の縦幅で成長が止まるところ、本種は水槽の横幅の8割くらいの大きさにまで成長します。つまり60㎝水槽であれば50㎝、90㎝水槽であれば70㎝くらいにまで成長してしまいます。
そしてその環境で長期間飼育すると後述するエラめくれになったり、背中が曲がったり、そこでじっとして動かなくなったりします。
なので180×90×60㎝以上の水槽を持っている、もしくは準備できるということでなければ飼育はあきらめた方がいいです。
適切な水温・水質は?
水温は20~30℃くらいに適応します。水質に関しては中性付近を保っていれば問題ありません。ただ、このクラスと大型魚をもし混泳さえるとなった場合、水質が急激に酸性に傾くことがあるので、それを予防するためにろ過槽にサンゴをれるのもありかと思います。
【水質とかよく分からない人はこちら↓】
餌は?人工飼料には餌付くの?
現地では小魚、水生昆虫、エビなどの甲殻類から、落ちてきたナッツや果物などの植物質を含むものも食べたりしてます。
なので生餌を与える場合は、これらをバランスよく与えてあげましょう。まあ植物質のものを直接与えるのは難しいと思うので、人工飼料をたっぷり与えた小赤などを与えるようにしましょう。
またよくコオロギや鶏肉を与えるケースがありますが、現地でこれらをメインに食しているわけではないので消化不良を起こしてしまう可能性があります。
なので鶏肉などの哺乳類の肉は与えず、また餌食いが落ちたときにはコオロギではなくカエルを与えるなど、なるべく現地の食べ物に合わせてあげた方がいいです。
【参考記事】
また、長期飼育する上でコスト面も考えると人工飼料に餌付けるのは賢い選択だといえます。小さい段階であれはそこまで苦労はしないかと思います。まずはクリルや冷凍赤虫に慣れさせた上で、これらに混ぜてカーニバルなどの浮上性の肉食魚用フードを与えましょう。徐々に食べてくれるようになります。
それでも食べてくれない場合は、こちらの記事【肉食魚・古代魚・大型魚への人工飼料の餌付け方法まとめ 】をご覧ください。
混泳は可能?
比較的温和なので、シルバーアロワナに危害を加えない魚であれば混泳可能です。ポリプテルスエンドリケリーなどの大型ポリプテルスや、ダトニオ、カラープロキロダス、
メガロドラスなどとであれば上手くいきやすいのではないでしょうか。
おすすめのフィルターは?
基本的に肉食魚の飼育には上部フィルターを薦めているわけですが、本種に関しても90㎝水槽くらいまでであれば上部フィルターでもいいかなと思います。
ただそれ以上の水槽が必要になった場合、特に180㎝以上の水槽で飼育する場合はオーバーフローを使用している人が多いですね。
また高い溶存酸素量をキープできるよう、大型のエアストーンなどを併用する方が多いです。新陳代謝、食欲、遊泳量などに良い影響を及ぼします。
どんなレイアウトにすればいい?
このクラスの大型魚を飼育する場合、多くの人は何も敷かず何も置かないベアタンクで飼育しています。
また後述しますが、ベアタンクで飼育する場合目ダレを防ぐために底面が真っ黒の水槽を使用することが多いです(白でもいいんですけど、とにかく反射しないような底面がよい)。
病気などの対応
比較的に丈夫な種類ですが、エラめくれや目ダレといった、アロワナがかかりやすい病気というものも存在しています。以下でそれらの原因と対策を中心に解説していきます。
エラめくれ
水質の悪化・水槽の大きさ(アロワナの大きさに対して小さすぎる)などが原因で起こると言われています。初期症状であれば水流を強くすることで8割くらいの確率で治りますが、それで治らない場合はハサミなどでめくれたエラを切除する必要があります。
【参考動画】
目垂れ
これに関しては、下を見過ぎた結果なるとか、水槽が狭すぎるとなるとかいろいろ言われていますが、水族館の個体でも目垂れを発症したりしているので、はっきりとした原因は分かりません。しかもシルバーアロワナ飼育においてはほぼ100%発症するやっかいな病気です。
また、対処法も特にないので、これに関してはシルバーアロワナ飼育においては現状ではあきらめるしかないですね。
背曲がり
これは栄養の偏りや狭すぎる飼育環境によって引き起こされます。一度なってしまったら完治は難しいので、こうならないように注意するしかないです。
顎ずれ
これに関しても原因ははっきり分かっていませんが、水槽壁面に口をぶつけたり、栄養の偏りによって引き起こされると言われています。
こちらも治療は困難です。大きい水槽で飼育し、栄養の偏りに気を付けるしかないです。
その他
上で書いた以外にも普通の熱帯魚と同じように白点病などにかかる可能性もあります。かかってしまった場合、アロワナをはじめとする古代魚は魚病薬を使用できないので、
①2、3日かけて水温を2~3℃上げる
②塩分濃度が0.5%になる様に塩を入れる
③毎日1/3の水換えをする
という対応で自然治癒を狙いましょう。
もしこの対応で治らなければ、その症状に合わせて魚病薬を規定量の1/3に抑えて使用します。
【参考記事】
シルバーアロワナの飼育法まとめ
いかがだったでしょうか?諦められましたか?それともより飼育したいという願望が強くなりましたか?
確かに大きくあるということは飼育する上で大きなネックになるところですが、その環境を整えられることができるのであれそれは大きな魅力にもなりえるわけです。
なのでシルバーアロワナを飼育できる設備を用意できるのであればぜひチャレンジしてみてください。
もし『やっぱり無理そう・・』ということであれば冒頭にもお話ししましたが、ポリプテルスセネガルスやポリプテルスデルヘッジなどの小型のポリプテルスとか、形が似ているノーザンバラムンディくらいで手を打っておきましょう。
小型のポリプテルスであれば60㎝水槽で飼育できますし、ノーザンバラムンディも90㎝水槽で飼育できます。